今回は、この2月に一気に話題になった台湾産のパイナップルの話をしたいと思います。
パイナップルを台湾華語で発音すると「鳳梨/ ㄈㄥˋ ㄌㄧˊ/ Fènglí」となります。また、台湾語による発音は「オウンライ」と言い、「幸運が来る」という意味になります。そこで台湾ではとても縁起の良い果物だとされています。特に春節(旧正月)に先祖に捧げるお供え物としてよく使われる果物なのです。
台湾農家に突如起きた苦難(中国政府による輸入禁止)
春節も終わるとパイナップルの話題も落ち着くはずですが、未だにパイナップルに関するニュースが毎日のように報道されています。その理由はご存知の方も多いと思いますが、中国(中華人民共和国)政府が、今年の3月1日から台湾産のパイナップルの輸入を急に禁止したのです。
例年台湾産のパイナップルが大量に中国に輸出されていましたが、それが急に禁止されたことで、大量に余ったパイナップルをどうやって消費するかという問題が生じたのです。
とても美味しい台湾のパイナップルは、台湾国民も大好きですから9割は国内で消費され、海外輸出は1割に過ぎません。しかしその海外輸出1割のうち9割が中国向けでした。つまり丸々1割の消費先が無くなってしまったのです。
旬になる直前に中国から輸入禁止だと言われたため、農家のみんなは大パニックとなりました。そこで台湾政府と民間が一緒になって農家を助けようと呼びかけたのです。
品種改良で現在の甘い台湾産パイナップルに変身
今の日本にとってパイナップは珍しい果物ではありません。パイナップルの味なんて分かっていると思いますよね。しかし、一度でも旬の時期に台湾でパイナップルを切って食べてみてください。「え! パイナップルってこんなにジューシーで甘いの!?」と驚くに違いありません。それくらい日本で食べられているパイナップルとは違うことが分かるでしょう。
そんな今でこそ驚くほどジューシーで糖度が高く甘い台湾産のパイナップルも、実は30年以上前までは他の産地のパイナップルと同様に少し酸味があったのです。そのため主に加工されて出荷されていました。加工の過程でパイナップルの芯は切り取るのですが、その切り捨てられた芯を砂糖漬けにして干したものは、安くて甘い子供に人気のおやつでした。
芯まで食べたいという台湾人の気持ちが強かったのか、台湾の農業技術が大幅に進歩して、糖度が高く酸味が少ない美味しい現在の台湾産パイナップルになったのです。今では芯まで甘くて美味しいと言う声もあります。是非、本場台湾の旬の時期のパイナップルを市場で買って食べてみて下さい。マンゴーに負けない美味しさに驚くはずです。(続)
Comments